インドネシアってどんなところ?最初に押さえておくべき5つのポイント
- 大崎 未来
- 7月14日
- 読了時間: 5分
更新日:8月6日
インドネシアに進出を検討し始めた企業にとって、「そもそもインドネシアってどんな国?」という素朴な疑問を持つのはごく自然なことです。
「人口が多い」「若い人が多い」「経済成長している」──なんとなく良さそうなイメージはあるものの、実際にはどこにチャンスがあるのか、どんな点に気をつけるべきなのかは、あまり知られていません。
この記事では、抑えておくべき基本情報と進出前に知っておくべき5つの視点をわかりやすく整理してご紹介しますね。

1. 人口が圧倒的。若年層が多く、今後も市場は伸びる
(出典:インドネシア中央統計庁 BPS https://www.bps.go.id/ )
インドネシアの人口は約2.8億人(2024年時点)。これは日本の約2倍で、ASEANではダントツの1位です。日本の約2.2倍以上の人口を抱えるマーケットになります。
また平均年齢は約30歳と若く、人口ボーナスも2045年まで続くと言われているため、今後も消費市場としての拡大が期待されています。
都市部では中間層が増えており、特にジャカルタ、スラバヤ、バンドンなどの大都市圏では購買力も高まっています。世界銀行の報告によると、インドネシアの中間層(1日10〜50ドルの可処分所得を持つ層)は5,200万人を超えており、全人口の約20%を占めています。また、ジャカルタ首都圏(Jabodetabek)だけで国内GDPの約20〜25%を生み出していることからも、都市部への進出は非常に高い経済的ポテンシャルを持っていることが分かります。
(出典:World Bank - Indonesia’s Rising Middle Class https://www.worldbank.org/en/news/feature/2021/03/30/indonesia-s-rising-middle-class)
2. 地域によって市場性が大きく異なる
インドネシアは17,000を超える島々からなる群島国家で、国土面積は約190万平方キロメートル。これは日本の約5倍に相当します。人口の約57%がジャワ島に集中しており、ジャカルタ首都圏だけで3,000万人を超えるメガシティ圏を形成しています(Jabodetabek地域)。
一方で、スマトラ島、スラウェシ島、カリマンタン島、バリ島などの地域も、それぞれ異なる民族・宗教・言語背景と経済特性を持っています。例えば、スマトラは農業・資源系の産業が中心で、スラウェシは漁業・水産、カリマンタンは鉱業やパームオイル関連の産業が主流です。
こうした背景から、「インドネシア全土で一律にマーケティングを行う」ことは現実的ではありません。物流インフラの整備状況も地域差が大きく、島をまたいだ展開はコスト・時間・オペレーション面での負荷が大きいため、進出初期は地域を絞って戦略を立てることが重要です。
3. 宗教・文化に配慮したビジネスが求められる
インドネシアは世界最大のイスラム教人口を有する国で、約87%がイスラム教徒です(約2億4,000万人)。このため、宗教的慣習や価値観が日常生活にもビジネスにも深く根付いています。
たとえば、食品・飲料・化粧品・医薬品などの分野では、ハラール認証が重要な信頼指標となります。インドネシアでは、2024年以降すべての対象商品にハラール認証取得が原則義務化される流れがあり、BPJPH(ハラール認証機関)への申請手続きやBPOMとの整合性確認も必要です。
また、ラマダン(断食月)やレバラン(断食明け大祭)、金曜礼拝といった宗教的スケジュールは、ビジネス活動に直接的な影響を及ぼします。日本とは異なり「宗教行事が業務より優先される」文化であるため、進出前に理解と調整が必要です。
現地の信仰や慣習を尊重する姿勢が、パートナーシップ構築や顧客との信頼関係づくりにおいて極めて重要です。
4. 法制度や手続きは複雑。現地支援者の活用がカギ
(参考:インドネシア投資省 BKPM https://www.investindonesia.go.id/ja/)
インドネシアでは近年、外資誘致を強化する一方で、投資関連法や規制の改正が頻繁に行われており、最新情報のキャッチアップが不可欠です。
たとえば、2021年に施行された「オムニバス法」は法人設立手続きや労働法、税制などに大きな影響を与えました。これにより、外資系企業でも比較的短期間で現地法人(PT PMA)を設立しやすくなりましたが、依然として業種別に出資規制(ネガティブリスト)が存在し、注意が必要です。
また、食品・医薬品を扱う場合は、BPOM(国家食品医薬品監督庁)による登録審査や、ハラール認証との連携が必須です。たとえばBPOM申請には数カ月〜半年以上かかるケースもあり、商品ごとにラベル・成分・輸入経路を精査する必要があります。
こうした手続きは専門用語が多く、現地語・英語ベースのコミュニケーションも発生するため、経験豊富なローカルパートナーや代行支援会社との連携が、トラブル回避と迅速な市場投入のカギになります。
5. デジタル活用が進む若年層主導の経済
インドネシアでは、若年層(30代以下)を中心にスマートフォンの普及率が非常に高く、都市部では90%を超えています。これにより、EC(電子商取引)市場は年々拡大しており、Tokopedia、Shopee、Lazadaなどの主要プラットフォームを活用した販売戦略が不可欠になっています。
また、決済手段としてもOVO、GoPay、DANAなどのキャッシュレスアプリが浸透しており、オンライン決済との親和性が高いのも特徴です。
さらに、InstagramやTikTokを活用した“ソーシャルコマース”の流れも加速しており、消費者がインフルエンサー経由で商品を購入する文化が定着しつつあります。
これはBtoCビジネスに限らず、BtoBでもWhatsAppで商談を進めるなど、デジタルを介したやりとりが常態化しています。従来の日本型営業スタイルだけでは対応しきれない新しい商習慣への理解と対応力が求められます。
(参考:We Are Social & Kepios - Digital 2024 Indonesia https://datareportal.com/reports/digital-2024-indonesia)
まとめ
インドネシアは確かに大きな可能性を秘めた国ですが、「人口が多いからチャンス」という表面的な理解だけではリスクもあります。
地域性、文化、制度、商習慣の違いをしっかりと把握し、「まずは知ること」から始めることが、失敗しない進出の第一歩です。
Jakaluluでは、インドネシア進出を検討する企業向けに、現地視察や市場調査、進出戦略立案の支援を行っています。興味がある方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
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